行方不明の祖母を探す旅
私の父方の母、私にとって祖母は約20年前に行方不明になっている。
父の余命がいくらかか分からないということで、
本人が寝言のように言っている、行方不明になっている祖母の失踪先を探している。
行方不明者の探し方をネットで調べて、
探偵とか雇えばいいんだろうけど、何十万もかかるし、
20年も前に失踪した人をどうしていまさらというのもある。
なにか手がかりでもあるのだろうか。
驚いたことに、父は父の母の小さい頃の話も、誕生日も、何人兄弟がいたかということもなにも知らないという。ただ、生まれは茨木で、旧姓は❍❍で、医者の娘だったと。
そも、20年も思いながら探していないという時点で、おいおい本気かよと思う。
もし本気ならもっと早くに動くだろう。どうしてこんなに長期間放置していたのか。
祖母にしてみれば、誰にも探されず、ここまで年月が経ったのだろうか。
探してくれる人を待っていたのではないか、どんな気持ちで60間近になって、家を出たのかと思う。
どうやら冷たい家庭だったようだ。
とにかく、戸籍の附票というものに、住所の遍歴が残るらしいので、手続きして取り寄せた。
結果は住所は家での時点以降変更はなく、自治体からは住居の痕跡がないということで職権消除。
しかし、除籍処分(死亡届がでていない)状態。
そう、20年ままの状態でストップしていた。
市役所に再び電話して、一体どういう可能性が考えられるのか聞いてみた。
役所なんで反応冷たいんだけど、とにかく聞けるものは聞き出そうと。
一番考えられるのは、もう生きていないだろうということ。
健康保険とか取得するためには、転籍地がのってないといけないし。
するとだ、
20年前のある日、祖母は家族のいざこざから家出を密かに決意した、
それも、何か大病をしてやっとのことで命を取り留め、退院した直後だ。
几帳面だけが取り柄の、平凡な60も過ぎた家庭の主婦が、家族と子どもたちと別れることを決意。
どこかに行こうとか、自分の親族の家に身を寄せようとか、そういうこともなく
自殺する決意で、なんの身分証明書も持たず、家を出てどこかに行った。
そして、どこかで遺体が見つかったとしても無縁仏になっているということだ。
一応普通の家の主婦が、いきなり自殺を完遂したにしては、徹底していて…。
なんか、ちょっとした気の迷いとか、遺体が上がったとか、身分証明から分かったとか、ないんかいな。
もしかしたら、親族の誰かが行方を知っているのではと思ったりしたが、それにしても死亡が分かれば死亡届を出さなければならず、その手続をしていないということは、普通の可能性としたらだれも知らないのだ。
かつ、生きていれば必要となる保険証を作った記録もない。
年金とかの申請にも必要だし・・・。
誰も、探さなかったのだろうか。
どんな気持ちで祖母は最後の時を迎えたのか。
そこまでするに至る心境とはなんだったのか。
普通の平凡な女性が60半ばで家を出て、いなくなってしまう、
それも、遺体すら分からず、
一体どういうことで、そこまで完全に行方不明になれたのか。
妙な話だ。