レ・ミゼラブル歌曲 ”Stars”

何回か、メッセージで取り上げたことのある「レ・ミゼラブル」
最近、不意に頭に流れるメロディーがあります。
同ミュージカル中では、有名な曲ではありません。
というのも、主人公ジャン・バルジャンを執拗に追跡する、
いわば敵対者のジャベール警部のテーマ曲。
『Stars』
翻訳がついた画像が見つけられなくて申し訳ない…。
ジャベールは映画の中では、法の正義にこだわり、罪人にさばきを下すことを使命にしているキャラクターです。
彼には彼の正義があり、自らの正しさで、神に仕え、神の正しさを地に実現する、執行者だと思っています。
歌詞の翻訳はこちらなど参考に・・・。
http://musicalfun.blog.fc2.com/blog-entry-179.html
日本語での歌(動画)はこちらなど。
結局最後、ジャベールはジャン・バルジャンに命を助けられ、自ら信念としていた正義と、自分の理解を超えた「正しさ」に耐え切れず、自殺します。
『ジャベールの自殺』 歌詞付き動画(一分経過部分から)
最後の部分
「奴は、俺の命を助けた。
だが、奴は俺を殺したのだ。
捉えようのない世界、
逃れたい、ジャン・バルジャンの世界を、
俺には、辿る道もない」
美しい「Stars」の音色と、力を裁きを生きるジャベールの旋律。
人が考える「強さ」の脆さと危うさ、が映画ではよく表されているように思います。
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聖書の世界だと、パリサイ人の世界だとも言えましょう。
自殺の部分はユダにも重なります。
他者の愛に覆われて生きることを許せなかった。
自分の過ちを認め、その中を生きることが出来なかったジャベール。
許されることが、許せない。受け入れられない。
自分の罪を背負ったまま、闇に消える人間の不安さ。
聖書の背景を理解していると、作品の厚みが全然違います。
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はっきりと見えない道が、自らに重なるのでしょうか。
凍る星のような正義の世界と、そうでない世界の間を、おぼつかなく歩いています。
同じ神の世界を、十字架のもとを歩きながら、
全く違う世界を、生きているのです。
染み付いた過去の旋律と、囁く星の世界。
闇に虚しく消える歌い声を口ずさんで、星空の下を歩いています。