P.F.ドラッカー(訳上田惇生、他)『すでに起こった未来―変化を読む眼 』 ダイヤモンド社、1993。
本当は、こういうことの方をやりたいのですが、如何せん。
タイトル自体がすごく示唆に富んでおり惹きつけられる。
ただ、内容はドラッカーが学術論文や雑誌に寄稿したものを集めたものなので、すごく専門的で難しい所もある。気軽に読むにしては、しんどい。
*********以下抜粋 (b.は自分の意見)***********
「重要な事は、「すでに起こった未来」を確認することである。すでに起こってしまい、もはやもとに戻ることの出来ない変化、しかも重要な影響力をもつことになる変化でありながら、まだ一般には認識されていない変化を知覚し、かつ分析することである。
b. Ⅲ部「マネジメントの社会的機能」は非常に重要な論文
103p 「今日に至るも、殆どの人々は、マネジメントというと企業のマネジメントのことだと思っている。1940年代の初め、マネジメントについて研究をし始めたころの私もそう思っていた。
しかし、当時私がマネジメントの研究を始めたのは、企業に関心があったからではなく、社会・コミュニティ・人間組織に関心があったからだった。そして、私にはかなり早くからわかったことだが、マネジメントとは、組織という、あの新しい現象の統治機関だったのである。」
116p 「企業のマネジメントが、企業以外の組織にそのまま移植できるということではない。それどころか、それらの組織(病院・群・カトリック司教区・行政サービスなどの非営利組織)が企業のマネジメントからまず学ぶべきことは、マネジメントは、それぞれの目標設定から始まるということである。大学や病院などの非経済的な組織は、企業のマネジメントとは異なるマネジメンをと必要とする。しかしそれらの組織が、企業のマネジメントにマネジメントの基本形を見出そうとすること自体は正しい。・・・・非営利組織もまた、企業が利益という基準を持つように、自らの基準を持たなければならない。」
119p 「先進国・途上国を問わず、マネジメントにとって、起業家精神によるイノベーションが、管理的な機能と同じように重要な意味を持つようになる。(これこそが)マネジメントの本質であり、中核である。
したがって、我々は、既存の組織に対して、急速かつ継続的なイノベーションの能力を与える術を学ばなければならない。
我々が、いまだそのような状況からいかに遠いところにあるかということは、今日のマネジメントが、依然として変化に対する抵抗に悩まされている事実を見れば分かる。
今日、既存の組織が学ばなければならないことは、変化を機会としてして捉えることであり、継続に対して抵抗することである。」
b. 社会に必要とされるサービスは変化していく。組織の継続、組織の存在価値であり、存在する意義を保ちつづけるために必要なのは、「継続」ではなく、「イノベーションの継続」である。応用力とも言えるのでは。組織として、存続するために必要な条件の一つが「イノベーション」が起きる土壌である。発言の自由、多様さ、高い意欲、突飛なアイデア、想像を超える策にも期待を持ち、育てる風土。これらが組織存続の土壌。 イノベーションが起きない組織は社会に適合できずに、衰退する。
p126 「次の世代に与えられた課題は、個人・コミュニティ・社会のために、新しい多元社会における諸々の新しい組織を生産的な組織にすることである。そしてこれこそが、マネジメントの新しい役割である。」
b.生産的な組織。教会も含め、非営利組織は効率や、生産的という言葉に拒否反応を示すことがある。特に、自らの労働の目的が人道的なものであるとか、貨幣価値に換算することは出来ない、という理想主義者ほど。