待ち時間 -ライオンさんのこと 10
釜の扉は完全に閉じられてしまった。
Mさんが関係者を待合室へと案内した。
私と、1人の教会関係者のSさんは話している内に出遅れて、取り残されてしまった。
2人で別の扉から出ようとしたら、ゴウゴウという音がして、焼き上がったばかりの骨が2体台車に載せられて運ばれてきた。
横切ろうにも横切れず、強い熱気と煙が巻き上がる台車が通りすぎるのを、Sさんと肩を寄せあって待った。
バラバラになった骨が2体分、目の前を横切っていった。
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待ち時間は長かった。90分かかった。
やがて定められた番号が、電光掲示板に点灯し、焼きあがったことが知らされた。
再び釜のところまで戻ると、台車に骨が載っていた。
これがライオンさんだとは?
言われるがままに骨を拾った。
2回めに順番が来た時には、大きな大腿骨を入れようと頑張った、が
とても入りそうにない。
「砕いて、砕いて」
息子さんに言われて、太い竹橋で骨を砕いた。
しっかりした骨だったが、バラバラと崩れた。
ほとんどの部分は家族の方が担当した。
急いでほとんどの骨を、骨壷に収めた。
頭の部分を見てみたが、あご骨は形をとどめていたので確認できた。