Mさんと -ライオンさんのこと 6

遺族控室を後にして、前夜式の準備をする前にMさんと行動を共にした。

ライオンさんの遺体を検査した病院へ遺体診断書を取りに行き、精算をする必要があるとのことだった。

自分の荷物をマンションに置いてきてしまったので、ついでで車に載せてもらった。

 

Mさんとゆっくり話をするのも久しぶりだった。

 

病院に着くと、Mさんが代金を支払い、私が領収書を受け取った。

遺体何とか、と書かれた領収書だった。

 

Mさんは医師からもう少し詳しい説明を受けていた。

 

私が荷物を取りに行く間、Mさんは警察へ診断書を持っていった。

 

マンションへ上がった。

階下を覗きながら、一体どこに転落したのか探した。しかし、何事もなかったようにどこも変哲もなかった。

 

荷物と必要な物を取り、Mさんから連絡が来てすぐに斎場へ折り返した。

 

************

 

Mさんは葬儀の責任者なので、終始受付に待機してくださっていた。

たまたま夜勤が重なり、ずっと居られるということだった。

 

それも、神さまの憐れみだと、感謝した。

 

受付に座って話をした。

これまでのこと、最近のこと…。

 

聞けばMさんも、つい数カ月前に鬱になりかけ、調子が悪かった、と話した。

「頭はすごい冷静なの。

冷静なんだけど、方向性がおかしいの。

どうやったら死ねるのかなーって事ばかり、ぐるぐる考えるとさ。」

 

「それで、どうしたの!?」

 

「それがさ、私の場合は薬が合ったの。

お医者さんって、やっぱりすごかとね。

薬できれいに治ったとよ。」

 

「よかったねーー。」

 

「でもさ、あの病気はやっぱり恐いよ。

本当に病気さね。自分の意志が効かなくなるの。

だから、ご主人も、何かそげかとだったんじゃないかな。」

 

「ですねぇ…。」

 

(沈黙)

 

「でもさ、私思うとさね、ご主人武士みたいな最後だったよね。」

 

「あぁ…家は本当に武家だったって言ってましたよ。」

 

「そう、だって自分でこう、と決めて、ばさっと逝ってしまったんだから。

まるで、武士の切腹ばい。」

 

「そうですね。ライオンさんらしいと言えば、ライオンさんらしいです。

いつもどっちが先に逝くかって、話してたし。」

「ねぇ」

 

「はい…」

 

(沈黙)