星屑 ―ライオンさんのこと 19
ネオンが光る駅の繁華街で、チラシを配っている。
心は伴わない。
必ず、終わる時が来ると思いながら。
空を見上げると、濁った曇り空に三日月が浮かぶ。
ビルの上の大きな電光掲示板を見上げて、
なぜだろう、と思う。
なぜ、ライオンさんは死んでしまったのか。
どうして、居ないのか。
終わることもない、飽きることもない、この問いが、ぼんやり浮かぶ三日月のよう。
消えては、現れ、よく見えないのに、気がつけばそこにある。
でも、
悲しむ私がここにいるなら、それもいいかと思う。
ライオンさんを思って、悲しむ私が居るのなら、
私の悲しみは、ライオンさんが生きていてくれた証し。
悲しみが生きている意味なら、
ライオンさんが生きていてくれた意味ならば、
悲しみにも意味がある。
悲しみの中も、生きていこう。
ネオンが光る。
空虚さを抱えながら、雑踏の中チラシを配る。
嘘くささと、信念と、ぼんやりとした希望。