リーダーシップサミット2014 スーザン・ケイン

次の講師はスーザン・ケイン(Susan Cain)。
資料によりますと、
■ベストセラー『Quiet』の著者。
■TED(有名なインターネット配信の講演団体) の講演者。
■「内向型人間のリーダーシップ」というアイデアの提唱者。
といったところでしょうか。
幾つか興味深い点があるので、順を追っていきましょう。
まず、スーザン・ケインのベストセラー『Quiet』は講談社から
『内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力』として出版されています。
2012年1月に発売されるやいなや、アメリカの各有力誌で取り上げられ、あっという間にベストセラーに、そして彼女の提唱した、静かなリーダーシップの力、は社会にこれまでになかった観点を与えたそうです。
そして同年、アメリカの大規模な講演会TED(Technology Entertainment Design)に出演。
どうやら、このTEDに出演する、というだけでエライことの模様です。
スーザン・ケイン『内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力』講談社,2013.
TEDについては、興味がありますので、近いうちに別記事をまとめたいと思います。
TEDでのスーザン・ケインの講演 2012年2月。
⇒http://www.ted.com/talks/susan_cain_the_power_of_introverts#t-6061
リーダーといいますと、声が大きくて、積極的で、人をリードして…というイメージがありますが、全てのリーダーがそうなのか?
内向的な性格も、外交的な性質と同様に、魅力的な力を多く秘めているのではないか。
実際に、歴史的な偉人にも、大企業でも、内向的な力を持った人が活躍している…というのが、スーザン・ケインが強調していることのように思います。
「2時間のパーティに出た後、「よし、エネルギーが充電された!」と思う人。
「早く家に帰ってパジャマに着替えたい。」と思う人。前者は外向型、後者は内向型、と言えます。」
という下りがありました。
如何でしょうか、皆様…。
私なんて、完全に後者ですよ。パーティ出て、元気になる人がいるなんてことを、逆に初めて知りました。
講演を聞いていて、スーザン・ケインの話し方は穏やかで、本人自身が自分は内向型だ、と言っているのがよく分かるようでした。
因みに、彼女の祖父はユダヤ教のラビ、ですから彼女はユダヤ人です。
競争社会で、人を押しのけ、積極的で、声が大きくて、主張することが優秀であることの証、のような西欧社会において、彼女の主張する「静かなリーダーシップ」というのは、逆説的で、大きな衝撃を与えたのだと思います。
中国、韓国、日本といった儒教のアジア圏では、静かであること、和を重んじることが、指導者の美徳であることが言及されていました。
確かに、そういう価値観があったはずですが、近年ではあまり顧みられないですね、日本でも。
そういう意味でも、「内向型リーダーシップ」は、興味深い問いかけだと思います。
本当のリーダーの素質とは何なのか、人を支え、いつの間にかリーダーとなっている人とは、押しが強い人、だけではないはず。
キリストに見る素質、というのは、少なくとも内向的な面が多い、と話していました。
彼女は、ベストセラーとなった本の出版後、色々な反響を受けて、内向的な人のための企画を立てたそうです。
内向的な素質の有名人にインタビューしたり、関係することの研究などを行っているようです。
その団体はこちら⇒「Quiet Revolution」
ちょっと、ちら見しただけで、あんまり内容が分からないんですけど、またいつか…(いつかばっかりだな)。
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個人的な感想としまして、すごく面白い観点だな、と思いました。
それこそ、ゆっくり静かに考えてみたいですね。
以前「地味カリ」という言葉に出会ったことがあります。
即ち、「地味カリスマ」。
「内向的リーダーシップ」のように、背反する意味の言葉がひっついていて、不思議な感じがしました。
考えてみると、カリスマ性がある、とかリーダーシップがある、というのは何も派手でなくてもいいわけです。
静かで、穏やかで、暖かくて、でも熱意があって、そんな人の所にも人は集まってきますし、自分もそうあれたらと願います。
内向型人間の力。
なんとなく、昔から分かっていたことだけど、改めて注目されることはなかった、日本語で言う「縁の下の力持ち」のような存在。
でも、そういうキャラクターの持ち主を、縁の下に置いているだけでは、もったいない。
もっと、内向的な人たちの世界が広がれば、組織の雰囲気は穏やかになるし、より深い洞察を得ることが出来るのではないだろうか…。
神様が創られた、多くの個性の中で、多様なリーダーたちが育っていったらいいなと思います。