夜明けの住人
私は自分が住んでいるところを知っている
闇が光を覆うところ。
嵐に灯火が消されないよう、地平線の向こうに昇る陽を待ち続ける。
いくつの山を、谷を過ぎてきただろう。
分かるわけもなく、
私の足跡は、あの嘆きの川
死の影の谷
分かるわけもなく
私の霊性は影から来る
ぞっとする、
その闇は顔がない思考という
疑いは、信じるものがあるから生まれる。
だが、疑うものすら無かったら?
私の思考は、アジア的泥沼。
闇の中に通る光の道ではなく、
混沌の灰色。
白か黒か、ではなく無。
延々と死の谷を、旅する。
誰が耐えられる?
人は嫌悪するだけだ。
神の国に潜む夕闇
ユダの裏切り、
神の沈黙。
私はここにいる。凍える嵐が運んでくる、朝焼けの歌を聞きながら。
ゆっくりと動く神の時を数えている。
この場所に神の光を運ぶため
ここに迷う魂のため
神の恵みが死の谷の上に輝くよう
私は影を見つめることが出来る
そして、どこからでも起き上がることが出来る
ここが私の割当地だから。
夜明けの住人は朝明けを待つ
長い夜を、
沈黙を、
悲しみを、怒りを、軽薄さを、忍耐を、苦しみを
拒絶を
私は結ぶことが出来る
やがて来る朝に、
神の栄光に。
来る朝の輝きを知っている
朝と夕の出会うところに、私は住む。