スピリチュアル・フォーメーションのカウンセリング手法13 十分
殺風景なコンクリートの部屋の壁に、もたれかかるようにして誰か座っていた。
顔が見えないが、自分だということが分かった。とても憔悴しているようだった。
あちこちがかすり傷だらけ、囚人のようにつながれて、身動きできないという様子だった。
にわかに、頭を抱えたかと思うと、忍び泣くように泣き出した。
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愛していたんだ、と声がした。
「信徒さんのことを、愛していたんだよ」と。
苦しんで泣いている様子の自分を見たら、もう、十分に苦しんでいることが分かった。
「もう、いいよ」と心のなかでつぶやいた。
やっと、自分を許すことが出来た。