自分自身のことを振り返り、また様々な人から助言を頂いたことを振り返ってみると、回復のためにはいくつか効果的なポイントがあります。

知識、時間、人(専門家)です。

このプロセスは、カルト的な教会でも、通常のキリスト教会でも同じです。

どれかだけでも、例えば、時間がとにかく経てば、落ち着くこともあるでしょうが、出来るならばこの3つが揃っていると、比較的回復が順調になると思います。

知　識
　カルト対策の先生から教えてもらったことですが、身体は物理的に教会から離れていても、頭の中にはカルト的な教会で作られた思考回路がそのまま残っています。思考回路だけではなく、教会で受けた精神的、肉体的苦痛、嫌な記憶、不信感、色々な記憶が残っています。
現在持っている信仰や教会、クリスチャンに対する理解が、その人にとっては「キリスト教」の全てです。
その信仰理解や、聖書理解を回復させていくことなしには、霊的に回復していくというのは、難しい作業になります。
例えば、私は教会を出た時に、心を閉ざしました。それは、教会で色々な目に遭ったので、教会は人を騙し、痛めつけるところだと思ったのです。当時の状況の記事が以下です。

M師との対話 カルト対策カウンセリング-私は回復できるでしょうか

教会で受けた精神的苦痛の後遺症が続く

知識というのは、歪んだ教えによって傷められてしまった、理解を修正させていくことです。知識を増やせということではありません。
頭のなかにある恐怖感や、混乱が整理されない限り、心と魂の深いレベルにある苦しみや混乱は、すぐに目を覚まし、痛みを受けたような環境には戻ろうとしません。
聖書理解、信仰理解の修復は、健全な信仰理解をしている牧師、またカルト対策専門の牧師、クリスチャンカウンセラーの所に行くのが良いと思います。

時　間
　カルト対策カウンセリングの先生、同じような経験をされた先生、TALBOTのスピリチュアル・ディレクター(霊性のカウンセラー)信徒さん、今苦しんでいる人たちの話を聞いて、総合して思うに、教会で深いダメージを受けた場合、回復に平均で3年~5年、かかります。それは、治りたい意思を持っていた場合です。完全に不信感をもった場合は、教会に戻って来ないでしょう。
ですから、教会から離れて暫く経つのに、どうもだめだと思っている方は、焦る必要はありません。そんなもんです。
様々な分野からの助けや補助がない場合は、もっと時間がかかります。心の回復には時間がかかります。骨折のように平均◯ヶ月で治ります、ということは一律に言えないのです。
そして、もう一つ大切なことは、回復にも神様のタイミングがあります。自分の努力だけで、良くなろうと思ってもがいても、無駄に精神力をすり減らすか、治ったフリをすることになります。今の状態にあるのも、神様がちゃんと、次のステージに行く時を備えておられると思います。
また、これではクリスチャンらしくないと思い(又は周囲からそう言われ)、「治ったフリ」をする事がありますが、霊的形成の観点から言うと、「治ったフリ」は危険です。自分自身で魂の亀裂を覆い隠すことになりますから、本当の癒やしが届かなくなってしまいます。
覆い隠された亀裂は、無害ではありません。深い怒りや、孤独感、絶望は必ず、信仰者の信仰生活に影響を与えます。時間薬は有効な手段ですが、上の「知識」に書いたとおり、聖書理解、霊性のレベルの指導がなければ、傷はそのまま残る可能性が高くなります。
自分の状態に正直に、周りのプレッシャーに合わせないこと、今の状況は、神様と谷を旅している状況です。新しいステップに移っているところですから、これまでの自分のやり方で神につながろうとせず、黙々と毎日のことをこなし、生きているだけで十分です。

人(専門家)
　これ、見落とされがちですが、すごく大切だと思います。霊的な傷を受けている時に、大事なことは、適切な人を選ぶことです。これまでのメンター(相談役)や、クリスチャンの友人、親しい人ではありません。
おすすめは、牧師、クリスチャンカウンセラー、一番いいのは、この分野であればカルト対策、または教会内でのトラブルのことをよく知り、回復を指導できる専門家、カウンセラーです。
親しい人の中で、いまその人が抱えている問題をきちんとリードできる人がいるなら、その人でいいと思います。
しかし、アメリカでも幾つかカルト対策の本や、経験者の本を読んでみた結果、いいのはやはり「経験者」です。教会で受けた、様々な分かりにくい、言葉にしにくい世界観、圧力を理解できるのは、経験者だからです。

　これまでどんなに親しく、分かり合ってきたクリスチャン仲間だったとしても、経験していないことは究極的には分かりません。また、これは私の少ない牧師としての経験からですが、同じレベルの信仰者(クリスチャン仲間等)ですと、色々な霊的なケースを見ていないので、その人がこれでなんとかなるはずだ、というアドバイスをすることがあります。それは、善意であっても、症状を悪化させることがあります。うつ病の人に「がんばれ」と言い続けるのと一緒です。
牧師は、人によりますが、深い魂の現実というのを知っています。神様から、自分自身がそういう所を通らされるし、神学校や、実践の現場からカウンセリング的な視点を身に着けています。一応プロですから、話したことで、相談者を嫌いになるとか、関係に亀裂が入るとかいうことはありません。
ただ、経験したことがない牧師では、一般的な回答がされるだけで、精神的エネルギーを消費するだけということもあります。

　カルト対策、霊的形成の専門家が、出来ればいいと思います。私は、インターネットを使って、自分で探しました。ただ、どんな人かというのが分からないので、最初とても不安だと思います。専門家の人との相性もありますが、根気強く探してみて下さい。専門家だけではなく、同じ経験をした人も、話が通じるのでとても良い助け手になります。
同じカルト対策、と言っても、心理学的なアプローチの人、霊的形成の視点から指導する人、実際に警察、弁護士まで加えて解決方法を持っている人、と色々いるようなので、自身の求めに応じて、探してください。

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と、長々と書きましたが、自分の経験を振り返って、以上のように思いました。

私もまだ、勉強の過程にありますが、何かご協力出来ることもあるかもしれないので、必要な方はお気軽にご連絡下さい。