不健全なリーダー、4つの特徴-The Emotionally Healthy Leader 1
リーダシップの本で課題の本がありますので、これご紹介しながら、クリスチャンリーダーシップについて考えてみます。
課題図書はこちら。
Peter Scazzero,The Emotionally Healthy Leader: How Transforming Your Inner Life Will Deeply Transform Your Church, Team, and the World. Zondervan:2015.
余談なのですが、これ日本のアマゾンから買うとアメリカ価格+1000円位します(2017年2月時点)。
日本のアマゾン価格Kindleで2,118円。
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日本のアマゾンIDとアメリカのアマゾンIDで購入した本は、別アカウントになっており、確か共有ができないので気をつけて下さい。同じ端末でアカウントを切り替えれば、それぞれのアカウントで購入した本を読むことが出来ますが、いちいち初期化、再インストールとなるので、大変です。
前置きが長くなりました。ということで、教科書はPeter Scazzero “The Emotionally Healthy Leader”.
日本語にすると、健全なメンタリティをもった、クリスチャンリーダーシップとは、とでもなるでしょうか。精神的、感情的に健全なという。誰か、綺麗に訳して…。
今日はまえがきと、第一章の頭のところを少し。
この本は、牧師で著者であるPeter Scazzeroが、様々な失敗や人生の危機を経験しながら、教会のリーダーシップとは何かについて記した本です。一度は立て上げた教会が分裂し、離婚の危機を通り、カウンセリングやあちこちの勉強会に参加して、まとめ上げられたものです。
前文で心にとまった場所は、自分はこのような箇所でした。
“Common wisdom in leadership practice is to delegate areas of weakness to those who have strong skills in that area. but I knew this wasn’t what I needed. Instead, I made the weakest area of my work by formally incorporating the responsibilities of executive pastor into my job.”
一般的に、リーダーシップを実践することとは、弱点を長所で補うことである。しかし、私が必要としていることはそのような事ではなかった。代わりに、私は弱点を実際的な牧会に活かしてきた。
著者は、まずリーダーシップとは、まずリーダー自身の人格が深いレベルまで、神の恵みによって癒される必要があると言います。
著者も、カトリックの修道院や、静まること、といった霊的修練の方法に関心を持ったと書かれているので、スピリチュアル・フォーメーション(霊的形成)寄りのリーダーシップ論ということになるかも知れません。
何はともあれ、この流れで行きますと、私が想像していたリーダーシップとは、方向性が逆になります。
色々勉強してきたつもりでしたが、やはり頭のなかではリーダーとは強い人間がなるものだ、強くなければならない、健全なメンタリティを持った人間でなければならない、弱さや弱点を持った人間は、リーダーになる資格が無いと考えてきましたが、この理論では逆です。
自分の弱点がわからない人間は、健全なメンタリティをもったリーダーになれません。リーダーになっていく、とは自分の精神的弱点をまずもって、自覚する人です。弱さを否定する人ではなく、弱さに向き合う人です。
1章に入ると、著者は不健全なリーダーのメンタリティを4つに分類しています。
“Unhealthy leader s engage in more activities than their convine spiritual, physical, and emotional reserves can sustain.”
不健全なリーダーは、霊的、精神的、情緒的な力を得るための取り組みよりも、活動することに重点を置く。
“Four Characteristic of the Emotionally Unhealthy Leader
Low Self- Awareness
Prioritizing ministry over marriage/singleness
Doing too much for God
Failing to practice a Sabbath Rhythm”
4つの不健全なリーダーの特徴的なメンタリティ
自分の内側に対する洞察が不十分
各個人の生活環境(既婚、独身)よりも宣教を優先する
神のためにと言って、活動をし過ぎる
安息日のとり方を間違える
それぞれの項目で以下のような事が紹介されています。
自分の内側に対する洞察が不十分
激しい怒りや、妬みなどに駆られながら、自らの心に起こっているそのような心理的葛藤の原因を探し出せないでいる。
掲載されているサムの例:急激に成長している近隣の教会に対抗しようとして、会堂を大きくしようと教会員に提案。新しい会堂が必要なほど、教会員は増えていないので、教会員やアシスタントはそれとなく反対。自分は人々をキリストの弟子にしようとしているのに、どうして分かってくれないのだ、と怒ったり、批判したり、と自己防衛的な反応を始める。
周りに対するそのようなネガティブな反応は、彼の深い心理的要因から来るのだが、本人は無自覚。
各個人の生活環境(既婚、独身)よりも宣教を優先する
伴侶や家族、家庭環境をないがしろにする。
若いユースパスター、ルイスの例:教会活動が活発化していくにつれて、家庭を顧みないで教会の活動に集中する。彼の妻は良き理解者であったが、最近彼の仕事に対して不満を言ったり、愛情を感じないと言って諍いが増えるようになった。
ルイスは、魂が永遠の命を得るために、自分を必要としているのに、どうして最善を尽くさないでいることが出来るだろうか、妻が、私の仕事を理解するべきだ、と考えている。「どうかあなたが、妻の目を開いて、私の仕事の大切さに気がつくようにして下さい」、と祈っている。
神とのつながりを深めるよりも、活動・奉仕することに重点を置く
不健全なリーダーは時間が不十分であるにも関わらず、多くの奉仕を詰め込もうとする。キリストは一人になって、リーダーシップの仕事をスローダウンさせていた。活動を広げることだけが全てなのではなく、神とともにいることに心を用いていた。教会の奉仕に追われ、忙しいが、内側は霊的に飢え乾いている状態。
安息日のとり方を間違える
不健全なリーダーは、安息日を実践していない。1週間の内、24時間、すべての仕事を休み、神の恵みを喜び、神とともにいる生活を楽しむ。
教区のリーダーであるジョンの場合:ジョンは殆ど休みというものを取っていない。友人に、きちんと休みを取っているのか聞かれるが、こう返答する。
「天国で休むことが出来るから。神学校の先生が、神は休みなく働いている、だから私達もその働きを共にしなければならない、って教えてたから。そうだろう?」
そう答たものの、友人から仕事に喜びが伴っているのか聞かれ、忙しすぎて、実際には疲れ果てているということを自覚する。
はい、ここまで…。
何か、聞いたことがあるセリフがあちこち出てきて、面白い。活動することが信仰の証であるから、活動を拒否するなんて、何事だ、という空気が強かったですね。
活動は賑やかだが、内側が乾いていく、というのは、神とのつながりを深くする、一人になる時間や、神と向かい合う精神的、心理的スペースが不足していることに起因すると思われます。
まずもって、きちんと意識して、神とともに過ごし、神の恵みを喜ぶ時を取ることが、大事です。休みを取らないことなぞ、何の美徳でもありません。熱心の証でも、献身を表すものでもありません。不健全な霊性を形成するだけです。そして、不健全な精神性を他のクリスチャンに伝播させるだけです。
休みとは、きっとセラ、一時休止のときであり、全体のバランスを整えるときです。
休みが無駄なものであり、贅沢なものであり、自我が死んでいない、わがままな要求であるという考え方は、聖書から来たものではないでしょう。今思えば、非常に日本の文化的なものであると、思います。