霊的形成のクラス(2017 Spring) 4 – 変えなければいけない
「怒りの化け物- ライオンさんの記念碑32」にはきっかけがあった。
パストラルケアの授業の時、カウンセリングの練習があった。それまでに「The Lost Art of Listening: How Learning to Listen Can Improve Relationships」を読んで、その聞き方を参考にして、カウンセリングをするというもの。
3人で組になって、一人が話す役(相談役)、一人が聞き役(カウンセラー役)、一人が観察者(評価する人)になる。
評価内容は、
・アイコンタクトを取っていたか、聞く姿勢を持っているか
・肯定的に受け止めるような返答をしたか
・聞いたことを明確にするため、確認をしているか
・関連ある質問をしたか
・相手が言ったことをを復唱しているか
・話を妨害していないか
・相手の話を評価しているか -彼らの思いを否定しないこと
・適切な意見を述べているか
というもの。
私もつたないながら、英語で聞き役となり、何とか自分の番は終わった。
私を評価してくれた学生さんから評価の紙をもらった。
評価内容は、非常に正確で参考になるものだった。
その中の一つは、私にとって、とてつもなくショックだった。
”Did not focus on emotions and feelings.” 「感情や思いに焦点を当てていない」
自分が話し手と話した内容を振り返ってみた。
内容は話し手の進路についてのものだったが、確かに私は問題をどう解決するかということばかりを相談者と一緒になって考えていた。
…授業ではあれだけ、話し手の気持ちや感情に集中すること、と教えられていたのに。
ショックだったのは、授業で教えられたことが出来なかったからじゃない。
自分で、分かっているからだ。
確かに、私は相手の感情や思いを聞くことを避けた。
避けた。
なぜか、それは、怖かったからだ。
相手を不愉快にさせるのではないかということを。
なぜ、相手を不愉快にさせると思ったのか、それは、自分が不愉快だからだ。
「どう感じましたか」なんて、最悪に聞いてほしくないことだった。
日常会話で”How are you feeling?” という挨拶がある。
調子はどう、気分はどうですか、ぐらいの挨拶である。
私はこの挨拶が嫌だった。なぜか神経が逆なでされた。
その、最後の「Feeling」が気に障った。
Feelingなんて聞くんじゃねぇ、聞いてどうするんだ、滅茶苦茶だよ、あぁ、最悪だよ、今にも怒り出したいよ、テーブルでも叩きたいよ。
今から何時間もかかりそうな話だよ、答えが見つからないんだよ、聞いてどうすんだ、お前、答えてくれんのか。
こんな、5分も話続けられそうにないシチュエーションで、そんな深刻な話題振ってくるな、一体何なんだよ。
善人面か、カウンセラー面か、友達面か、なんでも解決できると思ってんのか、気に入らないんだよ!
という、どす黒い衝動を意識の表層部分で抑えながら、
「元気ですどうも」と答える珍妙さ。
この時の怒りの原因は、後になって分かった。
ライオンさんのことをずっと引きずっていて、心の中は悲しみや怒りでいっぱいだった。
とにもかくにも、”Did not focus on emotions and feelings.” 「感情や思いに焦点を当てていない」という評価は心に刺さった。
自覚がありすぎる。
自分が、感情や思いに触れて欲しくないから、人にも不愉快な思いをさせないようにと、相手の思いを聞くことを避けた。
避けた。
それではいけないことはよくわかった。
私が自分の問題を解決しない限り、私は牧会カウンセリングなんて出来ない。
自分の問題を、他者との関係に反映させている…。
それから、一体何に自分が過剰に反応しているのか、考え始めた。
自分のためじゃない。自分を何とかしなければ、人の心の問題に寄り添うことなんて出来ないのだから、やらなければならない。
自分のためじゃない。
でも、結局、自分のためだ。
よく言われるように、自分を愛することができない人間は、他人も愛することが出来ないのだ。
私はまだ怖い。
心の中に傷つくことが出来る余地や余力があるかといえば、無いと思う。
人のケアをするくらいの力はない。
自分のことで精いっぱいで。
でも、ちょっとずつ…やってみよう。
それで、”How do you feeling?”と聞かれたら、出来るだけ丁寧に自分の心情を説明するようにしてみた。
How do you feeling?にそんな深い意味なんて無い。でも…。
私は、自分の感情を伝えるのが苦手だ。
意見は言える。誰かのためなら。でも自分についての感情は難しい。
少しずつ話してみるんだ。
そしたら、周りの人がとても丁寧に耳を傾けてくれて、ほっとした。
加えて、”How do you feeling?”と自分も聞いてみるようにした。
すると、相手が喜んで、自分の状況を話してくれて、ほっとした。