学んだことが変化につながるまで-The Emotionally Healthy Leader 2

Peter Scazzero,The Emotionally Healthy Leader: How Transforming Your Inner Life Will Deeply Transform Your Church, Team, and the World. Zondervan:2015.

前の投稿からかなり時間が経ってしまいましたが、この本の紹介も続けていきます。
Peter Scazzero “The Emotionally Healthy Leader”

この本の目的は、これまで行動、奉仕重視だったリーダーのあり方から、人間としても、周りの人との関係に対しても神との関係性を深めることのできる考え方、ライフスタイルへと変化させることです。

著者Scazzeroは、考えたことが実際の行動につながるまで5つの段階が必要であると述べています。

学んだことが変化につながるまでの5つのステップ

このアイデア自体はBenjamin Bloomという教育心理学の学者によるものです。この5段階を、本書で述べたいことに当てはめると以下のようになると著者は述べています。

第一段階 ―Awareness(気づき):’’ペースを落とすことは興味深いアイデアだ”

個人生活と、教会でのリーダーシップに行き詰っていた1994年、私(Scazzero)は始めてペースト落とすことの大切さを考え始めた。

第二段階―Ponder(熟考):”スローダウンすることの大切さをもっと教えてください”

1996年、私が精神的に健康なリーダーシップを学び始めたとき、私はこのテーマについての本を読み、スローダウンについてのメッセージを聞き、礼拝のメッセージで説教するようにした。

第三段階―Value(価値を認める):”皆にとって、スローダウンすることが本当に必要だと確信を持つ”

Sabbath(休暇)、黙想、一日修養会への参加など、スローダウンすることを実際生活に取り入れる試みを始める。しかし、実際の行動、信条はなかなか変わらない。この状態が数年間続く。

第四段階―Prioritize(優先する):”私はキリストとともに歩むために、自分の生活の全体のペースを落とす”

2002年から2003年にかけて、長期休暇(Sabatical)を取った時、4カ月の期間を使って、自分の時間、力、スケジュールをこの新しいアイデア(スローダウンすること)に一致させた。この試みは、教会生活の中に新しいライフスタイルを定着させるためにとても役に立った。人生が変わった。

第五段階―Own(自分のものになる):”私のすべての決断と行動は、この新しいアイデア(スローダウンすること)に基づくようにする”

学んだことが自分のライフスタイルに定着するまで6年~8年の月日が過ぎた。教会からの要望や牧師の仕事に、新しい価値観を取り入れるためには、沢山の努力を要した。今でもなお失敗することはあるが、キリストとともにゆっくりと進む生き方が、生活の中で何をなすべきかを教えてくれる。

第3段階と第4段階、ValueとPrioritizeの間に大きなギャップがあることに気が付くだろう。なぜか、それは大きな変化を必要とする段階だから、変化することが難しいのである。多くのリーダーが霊的、精神的に健全なリーダーシップというアイデアに関心を示す。しかし、その価値を認める段階から、実践する段階に移行するためには、少なからぬ努力を必要とする。

しかし、諦めないでほしい。必要としている変化は一晩では起こらない、しかし、必ず起きる。ゆっくりと進めることが大切だ。しっかりと理解しよう。神があなたに力を与え、次の段階に移してくださるように、祈り信頼しよう。

参照:Peter Scazzero “The Emotionally Healthy Leader”44p~45p


さて、ということは、自分の考え方、ライフスタイルを変化させるためには、数年~8年はかかると。

こうしたい、と考えるのは今からでもできますが、実際に生活、仕事のペースをスローダウンさせるためには、相当な工夫と努力が必要であると。無意識に、漫然と出来るものではない。意識的に取り組み続けなければいけないと。

そうですよね、これが自分のライフスタイルだけでなく、教会全体の考え方、教会の文化になるまでは、プログラムだけではなく、教会員のマインドまで変えなければいけない。

耳が痛い、心が痛い。私自身の生活に焦点を当てると、もう全然出来てない。
この教科書使ってレポート書いた先セメスター、就寝時間は平均深夜2時、3時だったからね。
スローダウンが大切です、とか書きながら、毎日寝不足でストレスフルだったからね。
分かるよ、意味は。でも出来ないじゃん。締め切りは来るし、英語分からないから人一倍作業は遅いし。
まぁ、それでも、自分の傾向性としても、働きすぎる。余裕のない考え方をする。遊ぶこと、休むことには罪悪感や焦りを感じる。大切だってわかってても、なかなか出来ないんだなぁー。

でも、自分のこんなあり方が、周りの人、教会のあり方に不健全なライフスタイルを強いることになると思えば、うーん、しっかり変えないといけません。

アンディ・スタンリーが、土曜の礼拝、クリスマスの礼拝をやらないと決めたとき、沢山の非難メールを受け取った、と話していたな。彼は、教会員を忙しくさせたくなかった、無理のあるペースで歩き続けると、教会が駄目になる、という理由から、やたらにプログラムや活動を入れないようにしたのだったっけ。

偉いわ、改めて…。

さて、この教科書には、自分のリーダーシップが健全かどうかチェックするシートが、各章毎についていますので、次回はそれを見ていきます。